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父、森川翠水を悼む。

更新日:2020年8月25日


5月12日、

父であり水墨画家の森川翠水が癌で他界しました。

My father, MORIKAWA Suisui passed away due to cancer last week.

We were at my father's bedside until the end of his life.


Thank you for everything you have done for me.

Rest in peace, Dad.

このコロナ禍の混沌の中で入退院を繰り返していた父ですが

最後は家族みんなで父を囲んで実家で看取る事ができました。


ほんの数日前にスイカを食べながら交わした

他愛もない会話が今は只々愛おしく。只々悲しい。



今年の初めに発覚した父の癌については家族会議で話し合い、

それなりに覚悟はしていたつもりでしたが

幾度となく難しい手術を克服し舞い戻ってきた父の事だから

もう少し先の話だと、ボンヤリと考えてしまっていた。

いつか父に「聴かせたかった曲」

いつか父に「見せたかった未来」


僕の人生の宿題を机の上に平積みにしたまま

遂に父が生きているうちに果たせなかった事を思うと

悔しさと不甲斐なさで胸が張り裂けそうになりますが

病床の父はよく母に

”俺は何もしてやれなかったけど

ユウゴもショウゴ(弟)も勝手に立派になってくれて

エラいなぁ”

と言っていたらしい。

「だからアンタ、後悔なんて絶対しちゃダメよ?!」

と母は泣きながら言ってくれた。



思えば、

生前の父から不平不満の類は殆ど聞いた事がなく

それは自身の病気に対してもそうでした。

およそ打算や妬み、嫉み、おごりを感じさせない

控えめに言ってまったく裏表のない正直な人間で

水墨画家としても

純粋に「線」や「筆の運び」を楽しんで

生きてきた様に思います。


誰もが知る程、高名な画家ではなかったけれど

全盛期にはかなりの人数のお弟子さんがいたのは

皆、純粋に父の水墨画と人柄が好きで

ずっと支えて来て下さったのではないでしょうか。


僕の喪主デビューとなった告別式は18日、

コロナの件もあり家族葬として父のアトリエで行いましたが

それでもお別れ会には30年来のお弟子さんを初め

沢山の方が会いに来てくださり、父も感激していたと思います。

参拝してくださったお弟子さんの中には

実はアニメーションの作画監督さんだったり

実は普通にウィキペディアに名前が載ってる様な

某界隈の凄い方がいたりして

普段、そういう事を声高に言わない父に

死してなお、驚かされもした。



葬儀から2日たち、諸手続き等で

いまだドタバタと実家と自宅を往復しています。

生きていたら誰もが通るであろう

このお別れイベントをどう乗り越えていけば良いのかは

正直、まだ全っ然、わかりません。

でも

弟と実家にある古いアルバムを引っ張り出して

泣いたり笑ったりしながら父の写真を見ていたら

晩年の父は、

大きな絵を描くのは難しくなって

大人しく椅子に座って

皆の言う事をニコニコ聞いている

イメージでしたが

水墨画を描くときに使うフェルト地の絨毯を

筒状に丸めて肩に担いだままチャリンコでどこへでも

行ってしまう様な元気溌剌な時代が

僕らが生まれるよりずっと前から

母と2人だけの蜜月よりさらにずっと前の時代から

あったんだなぁ。と染み染みと実感できた。

紙媒体のアルバムってこう云う時に効きますねぇ。

父と父の画を好きでいてくれて

支えてくださった全ての皆様。

ありがとうございました。




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